教育のICT化に向けた環境整備5か年計画とGIGAスクール構想等の近年の国の議論の流れとは

2020.09.23

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ICT導入に関する近年の国の動き

先月のコラムにて、学校でのICT導入に関する、直近での国の動きをお伝えいたしました。今回は、学校でのICT導入について、ここ数年での国の議論の流れを、詳しくお伝えしたく思います。
 
そもそも、学校にICTを導入する動きが具体的に議論され始めたのは、『2020年代に向けた教育の情報化に関する懇談会』においてです。この議論をもとに策定され、平成28年7月29日に発表された『教育の情報化加速化プラン』からは、「ビジョン等の提示」・「授業・学習面でのICTの活用」・「公務面でのICTの活用」・「授業・学習面と公務面の両面でのICTの活用」・「教員の指導力の向上や、地方公共団体や学校における推進・支援体制」・「ICTによる学校・地域連携」といった大分類の下で、具体的な施策についての検討がなされていたことが分かります。
 
この『教育の情報化加速化プラン』を踏まえて行われたのが、『学校におけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議』です。第3期教育振興基本計画(平成30~34年度)を見越したICT整備の在り方と、地方公共団体のICT環境整備計画の策定及び計画的なICT環境整備を促進するための教育ICT環境整備指針の策定についての議論がなされたこの会議は、平成29年8月に最終まとめが発表されました。
 
その最終まとめを踏まえて示されたのが『平成30年度以降の学校におけるICT環境の整備方針について』です。そして、その整備方針に基づいて、『教育のICT化に向けた環境整備5か年計画(2018~2022年度)』が策定されました。
 
 

教育のICT化に向けた環境整備5か年計画(2018~2022年度)

この計画では、「3クラスに1クラス分程度の学習者用コンピュータの整備」・「授業を担任する教師1人1代の指導者用コンピュータの整備」・「大型提示装置・実物投影機の100%整備」・「超高速インターネット及び無線LANの100%整備」・「統合型校務支援システムの100%整備」・「ICT支援員を4校に1人配置」といった目標水準が定められました。また。経費については、2018~2022年度まで単年度1,805億円の地方財政措置を講じることとされました。
 
また、平成30年11月に行われた『経済財政諮問会議・未来投資会議・まち・ひと・しごと創生会議・規制改革推進会議 合同会議』にて、柴山文部科学大臣(当時)から、『先端技術の学びを支える先端技術のフル活用に向けて~柴山・学びの革新プラン~』が公表されました。これを踏まえて、文部科学省初等中等教育局に「学びの先端技術活用推進室」が新設され、ICTを基盤とした先端技術を効果的に活用する方策について議論がなされました。その結果が、令和元年6月に発表された、『新時代の学びを支える先端技術活用推進方策』の最終まとめです。このまとめは、「公正に個別最適化された学び ~誰一人取り残すことなく子供の力を最大限引き出す学び~」を進めていくために、学校でICT環境を整備することが必要だと示されています。その中で、「学びにおける時間・距離などの制約を取り払う」点、「個別に最適で効果的な学びや支援」ができる点、「可視化が難しかった学びの知見の共有やこれまでにない知見の生成」ができる点、「校務の効率化」ができる点の4点が、ICT環境を基盤とした先端技術や教育ビッグデータの活用で獲得が期待される具体的な効果として記載されました。
 

GIGAスクール構想の始動

さらに、令和元年12月に閣議決定された『安心と成長の未来を拓く総合経済対策』において、「学校における高速大容量のネットワーク環境(校内LAN)の整備を推進するとともに、特に、義務教育段階において、令和5年度までに、全学年の児童生徒一人ひとりがそれぞれ端末を持ち、十分に活用できる環境の実現を目指すこととし、事業を実施する地方公共団体に対し、国として継続的に財源を確保し、必要な支援を講ずることとする。あわせて、教育人材や教育内容といったソフト面でも対応を行う。」とされました。これを踏まえ、GIGAスクール実現推進本部が設置されることになり、GIGAスクール構想が実現に向けて動きだすこととなりました。そこから先の、新型コロナウイルスの影響を受けての国の動きは、先月のコラムでお伝えした通りです。
 

以上が、学校でのICT導入に関する近年の国の動きになります。ここでポイントとなるのが、『教育のICT化に向けた環境整備5か年計画(2018~2022年度)<以下、5か年計画>』とGIGAスクール構想の関係です。双方とも、学校でのICT導入という点では目的を一にする計画です。
 
 

5か年計画とGIGAスクール構想の違い

それでは、この2つの計画は何が異なるのでしょうか。これは、GIGAスクール構想が、5か年計画に上乗せされたものであると理解するのが良いでしょう。例えば、5か年計画では、学習者用コンピュータは3クラスに1クラス分程度の整備とされていましたが、GIGAスクール構想では1人1台の端末整備を目指しています。補助については、3クラスに1クラス分までは5か年計画での地方財政措置の、それ以上はGIGAスクール構想での補助の対象となっています。また、ネットワーク整備や端末整備以外のソフトウェアや大型提示装置、教師用端末は、5か年計画に含まれていたものなので、GIGAスクール構想の補助対象とはなっていません。これが、5か年計画とGIGAスクール構想の大きな違いとなります。
 

今回は、ICT導入に関する近年の国の動きと、『教育のICT化に向けた環境整備5か年計画(2018~2022年度)』とGIGAスクール構想の大きな違いについて、お示ししました。それでは、この2つの計画、特に昨今話題のGIGAスクール構想によって、教育業界はどのように変化するのでしょうか。次回はその点について、解説する予定です。

【参考】
文部科学省 『教育の情報化加速化プラン ~ICTを活用した「次世代の学校・地域」の創生~』(2020.09.11閲覧)
https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/28/07/__icsFiles/afieldfile/2016/07/29/1375100_02_1.pdf
 
文部科学省 『学校におけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議 最終まとめ』(2020.09.11閲覧)
https://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2017/12/13/1388920_1.pdf
 
文部科学省 『教育のICT化に向けた環境整備5か年計画(2018~2022年度)』(2020.09.11閲覧)
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/04/12/1402839_1_1.pdf
 
首相官邸 『新時代の学びを支える先端技術のフル活用にむけて ~柴山・学びの革新プラン~』(2020.09.11閲覧)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/dai22/siryou3.pdf
 
文部科学省 『新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)』(2020.09.11閲覧)
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/detail/__icsFiles/afieldfile/2019/06/24/1418387_02.pdf
 
文部科学省 『GIGAスクール実現推進本部の設置について』(2020.09.11閲覧)
https://www.mext.go.jp/content/20191219-mxt_syoto01_000003363_08.pdf
 
文部科学省『「GIGAスクール構想」 基本的な考え方 ~総論編①~』(2020.09.11閲覧)
https://www.mext.go.jp/content/20200219-mxt_syoto01-000003278_507.pdf
 

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