言葉には命が宿る
2016.08.20
こんにちは。学校経営コンサルタントの伊東威です。
私の尊敬する教育学者・大田尭先生は「命には3つの特徴がある」 と語ります。
それは「ちがうこと」「かわること」「かかわること」の3つ。
「ちがうこと」は、一人ひとりに違いがあることです。
と大田先生は語ります。このことを心に留めて、私はなるべく人と自分を比べないように心がけています。
「かわること」は、自らが絶えず変わることです。
ある生物学者曰く「人間は失いながら獲得する。人間の『手』 は5本指だが、これは細胞と細胞の間が壊
死することで5本の指ができあがる。 人間の進化は全てその繰り返しである」とのこと。失いながら、獲得
していくことが、「かわること」であるのかもしれません。
「かかわること」は、人間は一人では生きていくことができず、 その命を外界に宿してからは、親子から始
まる多様な社会(かかわり)の中で人格・ 価値観を形成していくということです。
ただ、 私が大田尭先生の話の中で一番心に残った「命の特徴」がもう一つあります。
それは「不完全であること」です。
「ちがうこと」 とも結びつくキーワードですが、「不完全さ」が「違い」となり、「持ち味」となり、「特色」となり、
「個性」となるということでしょうか。教育基本法に記されている「人格の完成」とは、本質的にはこの意味
であるとも大田先生は語ります。
人材育成を語る専門家の中には「人罪」「人財」という言葉を使う人がいらっしゃいますが、みなさんはどう
感じますか?ご本人は物事を分かりやすく説明するため、と思っているのでしょうが、私は違和感を感じま
す。
存在そのものをごく当たり前に尊重しつつも、自分の一方的な尺度で人を評価しないという姿勢があれば、
「人罪」「人財」という言葉は出てこないと思います。
言葉一つひとつにも命が宿ります。自分自身の信念・思想・哲学に照らして大切に使っていきたいものです。