専門学校取材レポート:卒業生から愛され、学生全員の技術力を高める伝統校の教育の秘訣とは!?

2022.07.20

(1)はじめに

 今回取材をさせていただいたのは、大正4年に創設された歴史ある伝統校「京都理容美容専修学校」。

同校は大正初年に京都の業界先覚者が技術の講習所を開設し、大正4年9月10日付で認可されて以来、

人材の輩出という観点から、理容・美容業界の発展に大きく貢献してきました。

同校では、「人間性を尊重し、意志強固にして業界発展に寄与し得る理想の理容師・美容師の育成」を目的とし、

国家資格合格実績、コンテスト実績など、これまで高い教育成果を誇っています。

 理容・美容専門学校として高い実績を誇っている同校ですが、三田学校長にお話を伺うと、

伝統を重んじられながら、「理容師・美容師という職業」と「学生・教職員」に対して大切にしている想いがあることがわかりました。

本記事では、長年安定した教育成果を残されている伝統校が大切にしている教育上の強みや業界・地域との関わりについてお伝えします。

 

(2)「理容師・美容師教育」への想い

 同校の校訓は「良心を腕に示して 真剣なれ」。

三田学校長にこの校訓についてお伺いすると、先代の学校長から受け継いできた校訓に対して尊敬の念を示されながら、

それとは異なる想いも大切にされておられます。それは、「理容師・美容師は人を幸せにする職業である」という想いです。

理容師・美容師という仕事は、日常生活での定期的な散髪から、結婚式などのお祝い事はもちろん、

人が亡くなったときもお化粧をするなど仕事の場面は様々です。

つまり、人が生まれてから死ぬまで、様々な場面でその人に寄り添い、その人の人生を明るく、幸せにしていく仕事です。

そういった仕事の特性から、三田学校長は、

「理容師・美容師という仕事において、人を明るく幸せにするためには、まず理容師・美容師である自分自身が明るく幸せでないといけない」

「自分自身が幸せであるからこそ他人を幸せにできる」とお考えです。

また、自分の幸せを少しずつ周りの人へ振りまき、それを全体の大きな幸せにすることが

この職業の役割であるという想いを持たれています。

こういった想いを大切にされているということが、長年安定した教育成果を残されている一つの大きな要因なのかもしれません。

 

(3)教職員との関わり

 理容師・美容師という職業は人の人生を幸せにしていく仕事であることから、

まず自分自身が幸せでなければいけない、と前項でお伝えしました。

このような考えに基づくと、理容・美容専門学校として学生を幸せにするために、まず教職員が幸せになる必要あります。

三田学校長は、まず教職員にも幸せになってもらい、その教職員が学生のことを幸せにしていく環境をつくることが

学校長の役割であるとお考えです。

 そういったお考えをお持ちであるからか、同校では教職員がやりがいを持って快適に働くことができる環境が整っています。

例えば、教職員が何か勉強したい場合は、その個人の勉強代を同校が負担しています。

また、新型コロナウイルスが流行する前は、教職員は1年に1回、皆で旅行に行っていたそうです。

その旅行では、安いホテルやレストランではなく、高級なホテルやレストランに行き、良いものを体験してもらい、

人としてのレベルを上げてもらう、ということも行っておられます。

教職員が休みをとる際にも、学校のことは忘れ、プライベートや家庭のことに専念できるように丁寧な声掛けをされておられます。

このような教職員への想いが長年学校を安定して経営することができている秘訣の一つなのでしょう。

 

(4)京都理容美容専修学校の教育上の強み

 学校長 三田清栄先生は同校で8代目の学校長になります。

専門学校を始めとする他の学校法人では代々家族経営ということはよくありますが、同校は家族経営ではありません。

家族経営ではないにもかかわらず、大正4年から引き継ぐ校訓を力強く掲げ、

教育に対する想いを受け継いでおられる秘訣をお伺いすると、それは「学生に対する愛情の強さ」ではないか、とお答えいただきました。

教職員が学生への愛情が強すぎるあまり、なかなか仕事の休みをとらない、学校からなかなか帰ろうとしない、などがよくあるため、

その度に学校長が教職員に「休んで」「帰って」とお伝えしなければならないほどだそうです。

また、同校の教職員は単に国家資格に合格すれば良いということではなく、「学生を理美容師にする」、という想いを持たれています。

そういった学生への愛情が根底にあることが、同校が高い教育成果を上げている大きな要因のようです。

 具体的な教育においては、飛びぬけた人材を輩出するというよりも、全員を底上げするような教育を心掛けておられます。

コンテストにおいても、技術力が高い学生ばかりを集中的に指導し、コンテストに出場させているわけではなく、

技術力が高い学生も低い学生も様々な大会に出場させることにより、練習の回数を増やし、技術力の向上を目指しています。

そうして技術力が特別高くない学生も賞を獲得できたことで理美容技術を学ぶのが楽しくなり、さらにまたほかの賞も取りたくなります。

また、各クラスにおいてコンテスト受賞者を輩出することで、

そのクラスでは受賞者のレベルを近くで体感することができ、クラス全体のレベルも底上げされるそうです。

長年高いコンテストでの実績をあげられている同校では、このような取り組みが行われていました。

 

(5)卒業生との繋がり

 同校の特徴の一つに、卒業生が非常に多く、その卒業生との関わりが濃いということが挙げられます。

例えば、理容室・美容室が休みである月曜日には卒業生が学校にシャンプーの練習をしにくることがあるそうです。

卒業生にとっては、ちょっと仕事で落ち込んでいても母校に帰って後輩から元気をもらうことで気持ちがスッキリし、

後輩にとっても上手な先輩を知ることで、卒業後そこの美容室で働きたいと思うこともあります。

このように、先輩と後輩のつながりを持たせることで、情報交換や技術に関するアドバイスなどの交流が頻繁に行われているようです。

 また、卒業生と同校の繋がりの強さを象徴するイベントとして、「卒業発表会」があります。

なんとその卒業発表会にOB、OGも含めて全員で1300人ほど集まるそうです。また、同校では同窓会も行われていますが、

同校の同窓会のユニークな点は卒業時に同窓会に入会するのではなく、入学時に同窓会に入るという点です。

一足先に同窓会に入りますが、その同窓会の会費以上に同窓会からいろんな補助を出していただいているそうです。

この仕組みも先輩と後輩の関係性を強くしている要因の一つでしょう。

 

(6)業界・地域への貢献

 学校長によると、今の美容室の方々が考えている学生像と現実の学生像とはギャップがあるそうです。

そのギャップが埋まらないまま学生がそういった美容室に就職すると、早期の離職につながります。

そういったことを防ぐため、同校は学生と美容室を仲介する役割を担われており、

美容室側には今の学生の特徴、実情をお伝えし、理解いただく機会を作られています。

それを象徴する取り組みの一つが、学校内で実施されている就活セミナーです。

学校内で行うことで、教職員も学生も安心であることに加え、

美容室側に今の学生についての理解を深めていただきやすいというメリットがあります。

このような業界(美容室)と人材(学生)の間を取り巻く課題の解決に取り組まれているということは、

他の業種の専門学校においても参考になるのではないでしょうか。

 

(7)最後に

 歴史ある伝統校で、高い教育成果を残されている同校ですが、

本取材のインタビュー中の様々な場面で、三田学校長が持つ「理容師・美容師」「学生・教職員」への愛情を感じました。

そういった根底にある愛情が、学生想いの強い組織、高い教育成果、愛校心を持つ卒業生などに繋がっていくのではないでしょうか。

同校は今後も理容・美容専門学校を牽引し、地域、業界へ貢献されることでしょう。

 


京都理容美容専修学校について

・京都理容美容専修学校HP

https://www.kyori.ac.jp/

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