コロナ禍で激変する専門学校業界―令和3年度全系統学科別の志願動向を大公開

2022.01.17

専門学校業界 時流予測レポート2024 ~今後の見通し・業界動向・トレンド~

時流予測レポート2022

皆様、いつも本コラムをご覧いただき、誠にありがとうございます。

今回のコラムでは、
2020年に発生した新型コロナウイルス感染症による影響が
実質初めて結果に反映されることとなった2021年の振り返りとして、
専門学校への志願傾向にどのような変化が起こっていたかについて、
最新の公開データをもとに全系統学科別に網羅的に解説いたします。
ぜひご一読ください。

専門学校を取り巻く短期・中期の市場環境

<>まず、専門学校を取り巻く市場環境についてお伝えいたします。
短期的な市場環境については、およそ2年間続いてきたコロナ禍の影響もあり、
学校選びの様式や職種に対する志向が変化したことによって、
学科系統別の志願動向にも変化がありました。
2022年1月現在ではオミクロン株の感染拡大によって「第6波」と言われる状況にあり、
引き続きウィズコロナでの学校運営が求められそうです。
また、中長期的な市場環境においてはご存知の通り、
18歳人口の減少は最も深刻な課題の1つです。
高等教育機関への進学者数を高校生の進学率が変わらないと仮定し、
文部科学省のデータをもとに推計すると、
2020年から2035年にかけて大学・短大・専門学校の入学者数は15.6万人減少していくと予想されています。
そのような状況の中、近年の専門学校の志願倍率は大きな減少こそ見受けられていませんが、
今後更なる18歳人口の減少によってより厳しい市場環境となることは確実です。

図1:専門学校への志願者数推移(1991年~2021年)
専門学校への志願者数推移(1991年~2021年)
※2020年・2021年の18歳人口は推計データである
出典:文部科学省の公開データより弊社作成

令和3年度の学科系統別の志願状況(要旨)

全体像から説明しますと、
令和3年度の専門学校への入学志願者数は353,275人であり、
2020年度の378,151人と比べておよそ2.5万人(-6.6%)減少し、かなり厳しい状況でした。
そして、図2が示すように、外部環境等の影響により系統別の増減は大きな差異が見られます。
この章では、公開データをもとに、
専門学校の主要系統および入学志願者数が1,000名以上のより詳細の学科系統別にコロナ前の推移と
令和3年度(2021年度)の志願状況をお伝えいたします。

図2:系統別志願者数および増減率(2020年・2021年)
系統別志願者数および増減率(2020年・2021年)
出典:文部科学省の公開データより弊社作成

令和3年度の学科系統別の志願状況(詳細)

【工業関係】
工業関係の志願者数は平成27年度~令和2年度にかけて34.0%増加した一方、
令和3年度は前年度比3.7%減でした。より詳細の学科系統毎の志願動向は以下の通りです。
<土木・建築>
 志願者数は、平成27年度から令和2年度にかけて38.9%増加し、
 令和3年度は前年度比0.4%増と横ばい傾向でした。
<電気・電子>
 志願者数は、平成27年度から令和2年度にかけて16.3%減少し、
 令和3年度は前年度比3.9%増であり、微増の傾向でした。
<自動車整備>
 志願者数は、平成27年度から令和2年度にかけて4.9%減少し、
 令和3年度は前年度比0.4%増と横ばい傾向でした。
<電子計算機>
 志願者数は、平成27年度から令和2年度にかけて18.9%増加し、
 令和3年度は前年度比5.7%減少となりました。
<情報処理>
 志願者数は、平成27年度から令和2年度にかけて50%以上大幅増加した一方、
 令和3年度は前年度比2.1%減少でした。
==================================
【農業関係】
農業関係の志願者数は、平成27年度から令和2年度にかけて13.7%減少しましたが、
令和3年度は前年度比7.6%増加でした。より詳細の学科系統毎の志願動向は以下の通りです。
<農業>
 志願者数は、平成27年度から令和2年度にかけて5.2%減少しましたが、
 令和3年度の志願者数は2,164名であり、前年度比2.7%増加でした。
==================================
【医療関係】
他学科系統と比べ、医療関係への入学志願者数は最も多いですが、
平成27年度から令和2年度にかけて24.3%減少でした。
令和3年度は前年度比0.8%減であり、横ばい傾向でした。
より詳細の学科系統毎の志願動向は以下の通りです。
<看護>
 志願者数は、平成27年度から令和2年度にかけて29.3%減少し、
 令和3年度は前年度比4.0%減でした。
<歯科衛生>
 志願者数は、平成27年度から令和2年度にかけて7.1%減少し、
 令和3年度は前年度比16%増加することでV字回復していました。
<歯科技工>
 志願者数は、平成27年度から令和2年度にかけて10.8%減少し、
 令和3年度は前年度比4.3%減少であり、歯科衛生関連学科と比べて比較的に厳しい状況にあります。
<臨床検査>
 志願者数は、平成27年度から令和2年度にかけて30.9%以上減少しており、
 令和3年度は前年度比さらに7.9%減でした。
<診療放射線>
 志願者数は、平成27年度から令和2年度にかけて10.0%増加し、
 令和3年度は前年度比さらに11.8%増でした。
<はり・きゅう・あんま>
 志願者数は、平成27年度から令和2年度にかけて21.7%%減少し、
 令和3年度は前年度比2.3%減でした。
<柔道整復>
 志願者数は、平成27年度から令和2年度にかけて23.1%減少し、
 令和3年度は前年度比5.1%減でした。
<理学・作業療法>
 志願者数は、平成27年度から令和2年度にかけて14.3%減少し、
 令和3年度は前年度比2.3%増と微増の傾向でした。
==================================
【衛生関係】
衛生関係の志願者数は平成27年度から令和2年度にかけて6.7%%減少した一方、
令和3年度は前年度比5.8%増でした。より詳細の学科系統毎の志願動向は以下の通りです。
<栄養>
 志願者数は、平成27年度から令和2年度にかけて18.4%減少し、
 令和3年度は前年度比4.7%増でした。
<調理>
 志願者数は、平成27年度から令和2年度にかけて19.1%減少ですが、
 令和3年度は前年度比1.5%微減でした。
<美容>
 志願者数は、平成27年度から令和2年度にかけて2.4%増加し、
 令和3年度は前年度比11.3%増でした。
<製菓・製パン>
 志願者数は、平成27年度から令和2年度にかけて15.4%減少し、
 令和3年度は前年度比1.1%減でした。
==================================
【教育・社会福祉関係】
教育・社会福祉関係の志願者数は平成27年度から令和2年度にかけて18.7%%減少した一方、
令和3年度は前年度比3.2%増でした。より詳細の学科系統毎の志願動向は以下の通りです。
<保育士養成>
 志願者数は、平成27年度から令和2年度にかけて6.7%減少し、
 令和3年度は前年度比3.4%減でした。
<教員養成>
 志願者数は、平成27年度から令和2年度にかけて34.1%%減少した一方、
 令和3年度は前年度比12.2%増加でした。
<介護福祉>
 志願者数は、平成27年度から令和2年度にかけて5.0%減少し、
 令和3年度は前年度比4.2%増でした。
<社会福祉>
 志願者数は、平成27年度から令和2年度にかけて42.3%減少した一方、
 令和3年度は前年度比16.9%減でした。
==================================
【商業実務関係】
商業実務関係の志願者数は平成27年度から令和2年度にかけて49.5%増加した一方、
令和3年度は前年度比22.9%減でした。より詳細の学科系統毎の志願動向は以下の通りです。
<商業>
 志願者数は、平成27年度から令和2年度にかけて116.8%増加しましたが、
 令和3年度は前年度比19.4%減でした。
<経理・簿記検定>
 志願者数は、平成27年度から令和2年度にかけて41.8%増加し、
 令和3年度は前年度比18.6%減でした。
<経営>
 志願者数は、平成27年度から令和2年度にかけて85.7%増加し、
 令和3年度は前年度比20.6%減でした。
<旅行>
 志願者数は、平成27年度から令和2年度にかけて66.0%増加し、
 令和3年度は前年度比32.0%減でした。
<情報>
 志願者数は、平成27年度から令和2年度にかけて89.2%増加し、
 令和3年度は前年度比30.7%減でした。
<ビジネス>
 志願者数は、平成27年度から令和2年度にかけて3.8%増加し、
 令和3年度は前年度比10.4%減でした。
==================================
【服飾・家政関係】
服飾・家政関係の志願者数は平成27年度から令和2年度にかけて26.6%増加した一方、
令和3年度は前年度比26.9%減でした。より詳細の学科系統毎の志願動向は以下の通りです。
<和洋裁>
 志願者数は、平成27年度から令和2年度にかけて53.1%増加した一方、
 令和3年度は前年度比20.0%減でした。
<ファッションビジネス>
 志願者数は、平成27年度から令和2年度にかけて13.8%増加した一方、
 令和3年度は前年度比44.4%減でした。
==================================
【文化・教養関係】
服飾・家政関係の志願者数は平成27年度から令和2年度にかけて21.4%増加した一方、
令和3年度は前年度比10.9%減でした。より詳細の学科系統毎の志願動向は以下の通りです。
<音楽>
 志願者数は、平成27年度から令和2年度にかけて10.3%増加した一方、
 令和3年度は前年度比8.1%減でした。
<美術>
 志願者数は、平成27年度から令和2年度にかけて95.9%増加した一方、
 令和3年度は前年度比4.7%減でした。
<デザイン>
 志願者数は、平成27年度から令和2年度にかけて19.6%増加し、
 令和3年度は前年度比0.5%増でした。
<外国語>
 志願者数は、平成27年度から令和2年度にかけて44.6%増加した一方、
 令和3年度は前年度比33.5%減でした。
<演劇・映画>
 志願者数は、平成27年度から令和2年度にかけて0.2減少し、
 令和3年度は前年度比7.7%減でした。
<通訳・ガイド>
 志願者数は、平成27年度から令和2年度にかけて21.1%増加した一方、
 令和3年度は前年度比38.1減でした。
<動物>
 志願者数は、平成27年度から令和2年度にかけて16.3%増加し、
 令和3年度は前年度比さらに9.8%増でした。
<法律・行政>
 志願者数は、平成27年度から令和2年度にかけて10.7%増加しましたが、
 令和3年度は前年度比5.7%減でした。
<スポーツ>
 志願者数は、平成27年度から令和2年度にかけて5.4%増でしたが、
 令和3年度は前年度比3.5%減でした。

まとめ

上記では、全系統学科別の平成27年から令和2年までの専門学校の志願者動向と
コロナ禍2年目の令和3年度の志願状況の最新動向を比較しながら紹介しました。

弊社が専門学校向けに開催しております「次世代専門学校研究会」では、
統計データの公開に先駆け、お付き合い先の状況等の独自の情報によって
今回お伝えした情報を2021年11月に伝えさせていただきました。


 

◆次世代専門学校研究会のご案内◆
弊社では専門学校経営者のため勉強会を定期的に開催しております。

研究会では、
・専門学校業界のトレンドや最新事例に関する講座
・令和時代に求められる広報戦略や予算配分に関する講座
・18歳人口減少時代に求められる事業展開に関する講座
を中心に学校経営者の方にぜひ知っていただきたい内容をお伝えしているほか、
「人財育成分科会」「商品力分科会」と
例会が開催されていない月においても”選ばれる専門学校づくり”のために必要不可欠である、
人材育成のポイントや職員の方向けの研修動画、
学科・コース等の高校生ニーズや業種別の企業ニーズなどを解説した動画を配信しております。

興味・関心をお持ちいただいた方は、
以下のページにてより詳細のご案内を掲載しておりますので、
ぜひご覧になっていただければと存じます。

また、ただいま本研究会のお試し参加を募集しております。
1法人1回のみの機会となりますので、
ぜひお申し込みいただき、研究会を体験していただけますと幸いです。

学校研究会

時流予測レポート2022


専門学校業界 時流予測レポート2024 ~今後の見通し・業界動向・トレンド~

PAGETOP
無料経営相談(平日9:00~18:00) 0120-958-270
無料経営相談