専門学校業界動向―令和4年度全系統学科別の志願動向を大公開

2023.07.10

皆様、いつも本コラムをご覧いただき、誠にありがとうございます。
今回のコラムでは、
2022年の専門学校への志願傾向について、
最新の公開データをもとに全系統学科別に網羅的に解説いたします。
ぜひご一読ください

専門学校を取り巻く短期・中期の市場環境

まず、専門学校を取り巻く市場環境についてお伝えいたします。
短期的な市場環境については、コロナ禍の影響と学校選びの様式や職種に対する志向が変化したことによって、学科系統別の志願動向にも変化がありました。
また、留学生の数も減少傾向が続いております。日本学生支援機構「外国人留学生在籍状況調査結果」によりますと、外国人留学生数は2019年の312,214人を頭に2022年には231,146人まで大きく減少しています。
また、中長期的な市場環境においてはご存知の通り、
18歳人口の減少は最も深刻な課題の1つです。
高等教育機関への進学者数を高校生の進学率が変わらないと仮定し、
文部科学省のデータをもとに推計すると、

2020年から2035年にかけて大学・短大・専門学校の入学者数は15.6万人減少していくと予想されています。
そのような状況の中、近年の専門学校の志願倍率は大きな減少こそ見受けられていませんが、
今後更なる18歳人口の減少によってより厳しい市場環境となることは確実です。
図1:専門学校への志願者数推移(1992年~2022年)

図1:専門学校への志願者数推移(1992年~2022年)

※2021年・2022年の18歳人口は推計データ
出典:文部科学省の公開データより弊社作成

令和4年度の学科系統別の志願状況(要旨)

全体像から説明しますと、
令和4年度の専門学校への入学志願者数は311,624人であり、
2021年度の353,275人と比べておよそ4万人(-11.8%)減少し、かなり厳しい状況でした。
そして、図2が示すように、外部環境等の影響により系統別の増減は大きな差異が見られます。
この章では、公開データをもとに、
専門学校の主要系統および入学志願者数が1,000名以上のより詳細の学科系統別にコロナ前の推移と
令和4年度(2022年度)の志願状況をお伝えいたします。
図2:系統別志願者数および増減率(2021年・2022年)

図2:系統別志願者数および増減率(2021年・2022年)

出典:文部科学省の公開データより弊社作成

令和4年度の学科系統別の志願状況(詳細)

【工業関係】
工業関係の志願者数は平成28年度~令和3年度にかけて23.9%増加した一方、
令和4年度は前年度比13.1%減でした。より詳細の学科系統毎の志願動向は以下の通りです。
<土木・建築>
 志願者数は、平成28年度から令和3年度にかけて23.9%増加し、
 令和4年度は前年度比9.5%減でした。
<電気・電子>
 志願者数は、平成28年度から令和3年度にかけて6.1%減少し、
 令和4年度は前年度比10.4%減少でした。
<自動車整備>
 志願者数は、平成28年度から令和3年度にかけて5.2%減少し、
 令和4年度は前年度比18.8%減少でした。
<電子計算機>
 志願者数は、平成28年度から令和3年度にかけて15.8%増加し、
 令和4年度は前年度比2.1%減少となりました。
<情報処理>
 志願者数は、平成28年度から令和3年度にかけて41.6%と大幅に増加した一方、
 令和4年度は前年度比10%減少でした。
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【農業関係】
農業関係の志願者数は、平成28年度から令和3年度にかけて5.7%減少し、
令和4年度は前年度比7.9%減少でした。より詳細の学科系統毎の志願動向は以下の通りです。
<農業>
 志願者数は、平成28年度から令和3年度にかけ約1%減少しましたが、
 令和4年度の志願者数は1,876名であり、前年度比13.31%減少でした。
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【医療関係】
他学科系統と比べ、医療関係への入学志願者数は最も多いですが、
平成28年度から令和3年度にかけて18.3%減少でした。
令和4年度は前年度比8.6%減少でした。
より詳細の学科系統毎の志願動向は以下の通りです。
<看護>
 志願者数は、平成28年度から令和3年度にかけて25.4%減少し、
 令和4年度は前年度比11.8%減でした。
<歯科衛生>
 志願者数は、平成28年度から令和3年度にかけて10.7%減少し、
 令和4年度は前年度比3.4%減少でした。
<歯科技工>
 志願者数は、平成28年度から令和3年度にかけて3.1%増加し、
 令和4年度は前年度比13.2%減少であり、歯科衛生関連学科と比べて比較的に厳しい状況にあります。
<臨床検査>
 志願者数は、平成28年度から令和3年度にかけて27.8%減少しており、
 令和4年度は前年度比さらに8.3%減でした。
<診療放射線>
 志願者数は、平成28年度から令和3年度にかけて30%増加でしたが、
 令和4年度は前年度比21.4%減で、大きな減少でした。
<はり・きゅう・あんま>
 志願者数は、平成28年度から令和3年度にかけて17.9%%減少し、
 令和4年度は前年度比2.3%減でした。
<柔道整復>
 志願者数は、平成28年度から令和3年度にかけて23.1%減少し、
 令和4年度は前年度比1.0%増で、横ばいでした。
<理学・作業療法>
 志願者数は、平成28年度から令和3年度にかけて3.6%減少し、
 令和4年度は前年度比6.4%減でした。
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【衛生関係】
衛生関係の志願者数は平成28年度から令和3年度にかけて2.0%減少した一方、
令和4年度は前年度比2.8%減でした。より詳細の学科系統毎の志願動向は以下の通りです。
<栄養>
 志願者数は、平成28年度から令和3年度にかけて8.5%減少し、
 令和4年度は前年度比3.0%減でした。
<調理>
 志願者数は、平成28年度から令和3年度にかけて15.3%減少ですが、
 令和4年度は前年度比6.8%減でした。
<美容>
 志願者数は、平成28年度から令和3年度にかけて14.1%増加し、
 令和4年度は前年度比1.7%減でした。
<製菓・製パン>
 志願者数は、平成28年度から令和3年度にかけて15.6%減少し、
 令和4年度は前年度比1.0%増加で,横ばいでした。
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【教育・社会福祉関係】
教育・社会福祉関係の志願者数は平成28年度から令和3年度にかけて4.8%減少した一方、
令和4年度は前年度比8.3%減でした。より詳細の学科系統毎の志願動向は以下の通りです。
<保育士養成>
 志願者数は、平成28年度から令和3年度にかけて9.2%減少し、
 令和4年度は前年度比2.5%減でした。
<教員養成>
 志願者数は、平成28年度から令和3年度にかけて14.6%減少した一方、
 令和4年度は前年度比3.3%減少でした。
<介護福祉>
 志願者数は、平成28年度から令和3年度にかけて23.7%減増加し、
 令和4年度は前年度比14.6%増でした。
<社会福祉>
 志願者数は、平成28年度から令和3年度にかけて19.5%減少した一方、
 令和4年度は前年度比15.3%減でした。
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【商業実務関係】
商業実務関係の志願者数は平成28年度から令和3年度にかけて4.6%増加した一方、
令和4年度は前年度比30.6%減でした。より詳細の学科系統毎の志願動向は以下の通りです。
<商業>
 志願者数は、平成28年度から令和3年度にかけて70.1%と大幅に増加しましたが、
 令和4年度は前年度比30.5%減でした。
<経理・簿記検定>
 志願者数は、平成28年度から令和3年度にかけて6.2%増加し、
 令和4年度は前年度比16.9%減でした。
<経営>
 志願者数は、平成28年度から令和3年度にかけて2.9%増加し、
 令和4年度は前年度比55.5%の大きな減少でした。
<旅行>
 志願者数は、平成28年度から令和3年度にかけて3.1%増加し、
 令和4年度は前年度比43.3%の減少でした。
<情報>
 志願者数は、平成28年度から令和3年度にかけて8.9%増加し、
 令和4年度は前年度比44.3%の減少でした。
<ビジネス>
 志願者数は、平成28年度から令和3年度にかけて10.9%減少し、
 令和4年度は前年度比9.5%減でした。
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【服飾・家政関係】
服飾・家政関係の志願者数は平成28年度から令和3年度にかけて10.2%減少し、
令和4年度は前年度比14.8%減でした。より詳細の学科系統毎の志願動向は以下の通りです。
<和洋裁>
 志願者数は、平成28年度から令和3年度にかけて9.6%増加した一方、
 令和4年度は前年度比13.9%減でした。
<ファッションビジネス>
 志願者数は、平成28年度から令和3年度にかけて44.9%減少し、
 令和4年度は前年度比26.2%減でした。
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【文化・教養関係】
服飾・家政関係の志願者数は平成28年度から令和3年度にかけて6.2%増加した一方、
令和4年度は前年度比10.5%減でした。より詳細の学科系統毎の志願動向は以下の通りです。
<音楽>
 志願者数は、平成28年度から令和3年度にかけて4.79%増加した一方、
 令和4年度は前年度比7.1%減でした。
<美術>
 志願者数は、平成28年度から令和3年度にかけて62.2%増加した一方、
 令和4年度は前年度比7.9%減でした。
<デザイン>
 志願者数は、平成28年度から令和3年度にかけて18.2%増加し、
 令和4年度は前年度比2.9%減でした。
<外国語>
 志願者数は、平成28年度から令和3年度にかけて10.0%減少し、
 令和4年度は前年度比39.5%減でした。
<演劇・映画>
 志願者数は、平成28年度から令和3年度にかけて2.2%減少し、
 令和4年度は前年度比3.4%減でした。
<通訳・ガイド>
 志願者数は、平成28年度から令和3年度にかけて34.3%減少し、
 令和4年度は前年度比50.0%減でした。
<動物>
 志願者数は、平成28年度から令和3年度にかけて33.9%増加し、
 令和4年度は前年度比さらに1.9%増でした。
<法律・行政>
 志願者数は、平成28年度から令和3年度にかけて2.2%増加しましたが、
 令和4年度は前年度比10.3%減でした。
<スポーツ>
 志願者数は、平成28年度から令和3年度にかけて3.9%増でしたが、
 令和4年度は前年度比9.6%減でした。

まとめ

上記では、全系統学科別の平成28年から令和3年までの専門学校の志願者動向と令和4年度の志願状況の最新動向を比較しながら紹介しました。

留学生が多い学校においては留学生動向というのが入学生数へ大きな影響を及ぼしますし、
多くの専門学校では学科系統やその関連業種の人気による入学者数への影響は大きいです。

学校経営という視点では、入学者数を確保することが求められますが、
取り組みの良し悪しというのは自校だけの入学者数の増減だけでなく、
同学科系統の入学者数推移に対して自校がどのような推移をしているかという視点も重要です。

ぜひ、こちらのコラムの内容を参考にして、
自校の入学者数の推移が業界全体と比べてどうなのかというのを確認いただければと思います。

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